世界はほしいモノにあふれてる「パリ・ベツレヘム “小さな宝物”ボタンを探す旅」紹介リスト

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NHK Gで放送している「世界はほしいモノにあふれてる(略称:せかほし)」シリーズ。
世界を旅するトップバイヤーと素敵なモノ探し。目利きバイヤーに密着したドキュメンタリーには欲しいものや行きたいお店が続々登場。バイヤーさんは誰?場所はどこ?物はどこで買える?と気になります。
番組はいよいよ3年目、長く続いてくれることを願います。2020年4月からは放送時間が45分に変更、再放送時刻も変更になっています。
世界はほしいモノにあふれてる パリ・ベツレヘム “小さな宝物”ボタンを探す旅(初回放送:2020年4月9日22:30〜 再放送:2020年4月13日25:05〜、2023年11月2日25:20〜〜)のMCは俳優の 三浦春馬(みうらはるま)さん、歌手の JUJU(ジュジュ)さん。ナレーション(天の声)は声優の 神尾晋一郎(かみおしんいちろう)さん。バイヤーは CO-(コー)の店主 小坂直子(こざかなおこ)さんでした。
番組を参考に、自分で行くときのために気になるお店やスポットをまとめてリストにしてみました。
せかほし最新の放送は 2023年11月4日(土)15:55〜16:20祝5周年!とっておきの旅SP」です。

せかほし5min. に登場

5分の短縮版「せかほし5min.」が放送されます。 せかほし5min. 放送スケジュール
語り(旅のオトモ)は 鈴木亮平(すずきりょうへい)さん。
NHK総合 2021年3月25日(木)27:16〜27:21「パリ&ベツレヘム 幻のボタン

U-NEXT(ユーネクスト) でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。世界はほしいモノにあふれてる は放送の翌日から見逃し配信中。三浦春馬さん出演の大河ドラマ おんな城主 直虎 などドラマも一気見できます。初回31日間無料トライアル。NHKオンデマンド は別料金ですが、もらえる600ポイントで購入できます。PR

2020年4月1日に番組のオフィシャルブックが発売されました。

ドイツ・オーストリア 想いを伝える文房具 のまとめはこちらをどうぞ!

チェコボタンが紹介された チェコ&ドイツ 幻のアンティークを探す旅 のまとめはこちらへ!

せかほし|小坂直子さん|バイヤーさんは誰?場所はどこ?物はどこで買える?

番組では CO-(コー)の店主 小坂直子(こさかなおこ)さんの2020年1月3日〜1月13日のフランス・パリとパレスチナ暫定自治区・ベツレヘムでの買い付けを紹介していました。

小坂直子さん / CO-(コー)/ ボタン専門店

東神田のボタン専門店 CO-(コー)は欧米で買い付けたアンティークボタンやアクセサリー、オリジナルボタンなどを販売するショップ。
10代のころからヴィンテージ雑貨に興味を持ちたびたび渡英してはアンティークマーケットを巡っていたという小坂直子さん。1年のイギリス滞在の後に2002年にWEBショップを開業。2010年に実店舗をオープンしました。
買い付けは年に1回10日間ほどヨーロッパへ赴き、現地のバイヤーと取引しているそうです。

小坂さんのお気に入りは20世紀前半につくられたヴィンテージボタン。
洋服につけるだけでなくアクセサリーとしても楽しむ提案もされてます。リング、ブローチ、ヘアアクセサリーなどアレンジするのが小坂さん流。

小坂さん自身の洋服もボタンの付け替えは必ずするそうです。
スタジオ出演時に着用していたシャツのボタンはもともと普通の白いボタンでしたが、1960-70年代フランスのカラフルなプラスチックボタンにしていて素敵。
ロングカーディガンにも1930-40年代フランスの陶器のボタンをプラス。ボタンひとつでイメージがガラッと変わります。

名前CO-(コー)
住所東京都千代田区東神田1-8-11 森波ビル1F
営業時間月〜土:12:00〜19:00
定休日日曜・祝日

スタジオでボタンの指輪を試着

スタジオで三浦春馬さんがはめていたボタンの指輪はボタンの部分を取り替えることができるしくみ。
妖しく光る美しいブルーのボタンはスキャパレリのボタンなどを手がけたフランスの職人 フランソワ・ユーゴーが80年くらい前につくった貴重なもの。
この青い色、世界一美しいといわれる蝶 モルフォチョウの羽が中に入っています。

三浦さんがボタンを選ぼうとするとJUJUさんが帽子にぴったり大きなボタンを横取り。お似合いでした。
コーンみたい、と思ったら本物のコーンがついていボタンも。1940-50年代のフランス製。コーンをつけてると「なごみます」三浦さん。

せかほし|Paris(パリ)

Dam Boutons(ダム・ブトン)/ ボタン専門店【パリ】

パリで最初に紹介されていたのはフランスでも珍しいボタンの専門店 Dam Boutons(ダム・ブトン)。1979年に店主の Marianne(マリアンヌ)さんがモンマルトルにオープンしました。壁一面ボタンに覆われていて圧巻!2万3千種類ものボタンを取り扱い、色・形・素材も様々なものが揃っています。

ジャケットのボタンを取り替えたいというマダムが訪れるとマリアンヌさんはイメージにぴったりのものを探し出してくれます。
高級感とオリジナリティが欲しいというリクエスト。マリアンヌさんが選んだ数種類の中からメタリックな四角いボタンに決定。クラシック過ぎずにクリエイター風、上品な中にも遊び心が感じられるジャケットに様変わり。
ボタンひとつでスタイルは変わるのですね。

名前Dam Boutons(ダム・ブトン)
住所46 rue d’Orsel 75018 Paris, France
WEBhttps://damboutons.com
Instagram@dam_boutons
営業時間月:13:30〜18:30、火〜土:10:30〜13:00,13:30〜19:00
定休日日曜

Marché de Vanves(ヴァンヴ蚤の市)【パリ】

年に1度ヨーロッパの蚤の市やコレクターを訪ねて買い付けをするという小坂さんはパリの Marché de Vanves(ヴァンヴ蚤の市)へ。
ヴァンヴ蚤の市はパリ3大蚤の市のうちの1つ。他の2つはクリニャンクールとモントルイユ。クリニャンクールは少々治安が悪い場所ですが、ヴァンヴは比較的治安が良くてアクセスも良い場所。ただ規模はそれほど大きくありません。
土日に14区の Avenue Marc Sangnier(マルクサンニエ通り)Avenue Georges Lafenestre(ジョルジュラフェネストル通り)で開催されます。

小坂さんによると貴族の文化が華やかだったところに良いボタンが残っているそうで、フランスも掘り出し物が多いようです。
小坂さんの欲しいのはエスプリの効いた古い時代のボタン。個性的なボタンを探します。
見つけたのは蹄鉄と花のモチーフの赤いボタン。蹄鉄が入っているのは珍しいとのこと。

ボタン収集家で販売業の Eric Hebert(エリック・エベール)さんに遭遇しますがここでは買わずに別の日に倉庫を訪問。

名前Marché de Vanves(ヴァンヴ蚤の市)
住所Avenue Sangnier 75014 Paris, France
WEBhttps://www.paris.fr/equipements/marche-aux-puces-de-la-porte-de-vanves-4518
http://www.pucesdevanves.fr
Instagram@marcheauxpucesdevanves
営業時間土日:[マルクサンニエ通り]7:00〜13:00 [ジョルジュラフェネストル通り]7:00〜17:00
定休日月曜~金曜

エリック・エベールさん / ボタン・アクセサリー収集家【パリ】

ヴァンヴ蚤の市で遭遇した Eric Hebert(エリック・エベール)さんとは10年以上の付き合い。蚤の市ではなく秘密の地下倉庫に直接お邪魔して探します。
エリックさんはボタン・アクセサリー収集家として有名な方。頻繁に来日し、東急プラザ銀座、伊勢丹新宿店など百貨店の催事にも出店されています。2020年3月の阪急百貨店 阪急うめだ本店 フランスフェアにも来場されました。どうりで日本語がお上手だったわけですね。
エリックさんが販売するときの屋号は HE!COLLECTIONS。常設店は無く蚤の市やイベントに出店しています。

エリックさんが扱うのはデッドストック(長期間倉庫にあった未使用の在庫)。数が揃っていて新品同様なので手に取りやすいのも魅力。
趣味でボタン収集をしていたエリックさんは2004年頃に集めたボタンを販売してみたところ反響があり販売業を始めました。2007年にパリ最大のボタン工場 Paris Boutons が閉店する際に在庫を丸ごと買い取り大量のデッドストックを所有することになったそうです。

秘密の地下倉庫にはデッドストックを中心にボタンの在庫が10億個あるといいます。凄い数ですね。小坂さんはこの中から宝探しのように欲しいボタンを見つけます。今回探すのは春のコートとかに合うような、ちょっと華やかに春っぽさが出るようなボタン。
いろいろ掘り出し物を見つけ出したようです。

名前HE!COLLECTIONS
Instagram@monsieurboutons

エリックさん監修、エリックさん所有のボタンとブローチのコレクション本です。

ビンテージボタンの有名店【パリ】

世界中のデザイナーが買い付けに来るビンテージボタンの有名店と紹介されていたのは、地下しか映らなかったので不確かですが2区の Ultramod(ウルトラモッド)ではないかと思います。
地下があるのは知らなかったですが、一般客でも入れる老舗の Mercerie(メルスリー 手芸屋さん)。19世紀に創業された店内にはアンティーク・ヴィンテージのボタンやリボンがところ狭しと並んでいて時が止まったかのよう。
ウルトラモッドのあたりは日系のお店も多いエリア。ウルトラモッドも日本人のお客さんが多いのか日本人スタッフがいらっしゃってわからないことも日本語で訊けるのがありがたいです。道路挟んで向かい側に系列の帽子専門店もあり。

小坂さんはおよそ160年前から収集されたというボタンの山から時代の空気をまとったデザイン性の高いボタンを探します。
1930年代フランスのアールデコなどパリのファッション文化が花開いた時代のボタンなども揃っていて掘り出し甲斐がありそうです。
パリに来たからには遊び心のあるものも探したい、と見つけたのは1930年代チェコの花の形のプラスチックボタン。30年代に流行した帽子用の飾りボタン

名前Ultramod(ウルトラモッド)
住所4 Rue de Choiseul, 75002 Paris, France
Instagram@ultramodmercerieparis
営業時間月〜金:10:00〜18:00
定休日土曜・日曜・祝日

サンドリンヌ・メトタル さん / Buttons Paradise(ボタン・パラダイス)【パリ】

パリのエッセンスを感じる日本未上陸のアイテムを探しに訪れたのはデザイナー Sandrine Mettetal(サンドリンヌ・メトタル)さんのブランド Buttons Paradise(ボタン・パラダイス)。最近話題のアトリエです。
London(ロンドン)の劇団 The Royal Shakespeare Company(ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)で衣装のデザインをしていたサンドリンヌさんはボタンの魅力に惹かれ5年前に独立。以来オリジナルのアクセサリーを開発しています。

サンドリンヌさんとは初対面の小坂さん。日本にない発想を求めてきたのですが、いきなり意表をつくアイテムに遭遇。
赤い帽子にコーヒー豆のような黒いボタンがついています。「戦隊もののキャラクターになったような感じ」と小坂さん。

革製のバンドにボタンを飾り付けたアクセサリーは日本人も使いやすそうなアイテム。つけるだけで急にお出かけ感が出ると小坂さんも気に入った様子。
スタジオでJUJUさんも試着。ベルトは黒皮、裏はピンク。ボタンも表裏が違っていて表は1910年年代・フランス・プラスチックの緑のボタン、裏は1930年代・フランス・プラスチックの青い大きなボタン。
とっても素敵なアクセサリーでした。ちなみにお値段は1個130€〜150€(1€=119円換算で15,470円〜17,850円)くらいです。

サンドリンヌさんは「ボタンには無限の表情があってまるで魔法のようです。モードの時代の新しいアクセサリー。私にとっては宝石にも劣らない価値のあるもの」と語っていました。

小坂さんのお店 CO-(コー)で2020年6月23日〜7月4日までボタン・パラダイスのボタンとバックルを使用した新作60点ほどが展示販売される予定です。

名前Buttons Paradise(ボタン・パラダイス)
住所15 Rue Saint-Guillaume, 75007 Paris, France
WEBhttps://www.buttonsparadise.com
Instagram@buttonsparadiseparis

ロイック・アリオさん / ボタンコレクター【パリ】

小坂さんがパリに来た時必ず訪ねる師匠 Loïc Allio(ロイック・アリオ)さん(ロイクという表記もあり)。30年に渡って博物館級のボタンを集め続けるボタンの神と称される人物。
2015年に Musée des Arts Décoratifs(パリ装飾芸術美術館)で開催されたボタン展 De Boutonner la Mode はロイックさんのコレクションを主体にした企画展でした。MADの企画展ができるレベルの質と量をお持ちって凄いですね..。

凄い方なのに貴重なボタンを愛でながら気さくに新たな知識をくれるロイックさん。
最初に出してきたのはフランスの国宝に指定されていると言う特別なボタン。「王太子の死に際し喪に服するボタン」と書かれています。
フランス革命直前の1789年のこと、ルイ16世とマリー・アントワネットの長男 ルイ・ジョセフ・ド・フランスが7歳にして結核にかかり命を落としたのです。
ボタンにはルイ・ジョセフを象徴する白いイルカ、周りには早すぎる死を悼む涙が描かれています。

テレビもインターネットも無かった時代、ボタンにはニュースを広めるメディアの役割があったそうです。当時の貴族は何か重要な出来事があるとそれをデザインしたボタンを身につけ、王宮の庭を散歩し会話のきっかけにしました。
フランス革命前の兵士がバスティーユ牢獄を守る様子が描かれたボタン、革命後の市民が牢獄を壊す様子が描かれたボタン。フランスの歴史に残るような出来事がリアルタイムでボタンに残されているのは貴重です。
「私のコレクションに値段はつけられません エッフェル塔に値段がないのと同じです」というロイックさん。

さらに19世紀初めのアヘンやダイヤモンドの密輸用のボタン、1950年代冷戦時代のロシアスパイの隠し撮り用ボタンなど面白アイテムも披露してくれました。

スキャパレリのボタン【パリ】

小坂さんがリスペクトしているデザイナー Elsa Schiaparelli(エルザ・スキャパレリ)(スキャパレッリという表記もあり)は Coco Chanel(ココ・シャネル)のライバルとして君臨した伝説のファッションデザイナー。そのデザインの要となっているのが一流のデザイナーや職人がつくった芸術性の高いボタン。シックなジャケットに蝶のボタンをあしらった代表作など大胆な発想のボタンを次々に発表し世間を驚かせ続けました。

ロイックさんにスキャパレリのボタンを持っていないかと訊ねたところ、やはり集めているとのこと。
1930年代の陶器でピーナツをリアルに再現したもの、1940年代の石ころに銀メッキを施しボタンにしたもの。などボタンひとつひとつが美術館に展示されるほどの価値を持つ貴重なもの。
どうしても欲しい小坂さん、無理を承知で譲ってくれないかと交渉しても「私のコレクションですよ、ごめんなさいね」と断られてしまします。

しかし翌日、ロイックさんは美術館の収蔵庫、通常は入ることのできない裏側へ連れて行ってくれました。見ているときは Musée des Arts Décoratifs(パリ装飾芸術美術館)かなと思っていましたが、最後の取材協力で「ガリエラ美術館」とクレジットされていましたので Palais Galliera(ガリエラ美術館)かもしれません。
キュレーターの Véronique Belloir(ヴェロニク・ベロワール)さんが出してくれたのはボタンがついたままのスキャパレリのオートクチュール。
スポーティな革のジャケットについていたのはイノシシモチーフのボタン。
紫のスカートには青い瞳を持つ目の形のボタン。この奇抜な発想はダリの影響を受けたもので、ダリはスキャパレリとともにファッションアイテムを開発。スキャパレリはその時代の一流の感性をボタンに注ぎ込んでいたのです。

せかほし|Bethlehem(ベツレヘム)

2020年1月16日、小坂さんはパリから南東へ3300kmの中東の国イスラエル、さらにその東側のパレスチナ暫定自治区の Bethlehem(ベツレヘム)へ。
ベツレヘムはキリストが生まれたとされるキリスト教の聖地。長年憧れている「祈りのボタン」、ベツレヘムパールボタンを探しに行きました。

Church of the Nativity(ベツレヘムの聖誕教会)【ベツレヘム】

番組で映されていたのはイエス・キリストが生まれたとされる洞穴の上に建てられた教会 Church of the Nativity(ベツレヘムの聖誕教会 または 降誕教会)。最初の聖堂は339年に完成、その後焼失し再建。キリスト教の聖地で2012年に世界遺産に登録されています。

名前Church of the Nativity(ベツレヘムの聖誕教会)
住所Church of the Nativity, Bethlehem
WEBhttps://www.bethlehem-city.org/en/churchofthenativity
営業時間4月〜9月:6:30〜19:30、10月〜3月:5:30〜17:0
定休日なし

ベツレヘムパールボタン【ベツレヘム】

小坂さんがずっと欲しいと思っいていたBethlehem Pearl Button(ベツレヘムパールボタン)は真珠の貝殻を削った透かし彫りのボタン。
実はお店を始めた17-18年前にイギリスのアンティーク屋さんで買ったものの、当時は価値がわからず手放してしまったそうです。
それからもう二度と会えないまま。現地に行って探したいというのが長年の夢。もし見つかれば店の看板アイテムにしたいと考えていました。

パリのロイックさんのコレクションで1つだけベツレヘムパールボタンのコレクションを見せてもらいましたが、「もうつくってないよ。終わってしまったんだ」とロイックさん。
それでも小坂さんはベツレヘムですでに途絶えたという憧れのボタンを探します。

ベツレヘムの教会【ベツレヘム】

まず訪ねたのは地元の教会。ベツレヘムパールボタンの由来となったものがあるといいます。
キリスト生誕の地ベツレヘム、数多くの敬虔なクリスチャンが生活しています。この教会で毎週行われているミサには貝殻で装飾された道具が使用されていました。ベツレヘムパールの貝殻はもともと祈りの道具に用いられていたそうです。

祈りの道具のコレクションがあると聞き修道会の展示室へ。展示室を管理する修道士 エウジャーノ・アリアータさんのお話ではベツレヘムパールの祈りの道具がつくられ始めたのが16世紀。聖地からの特別な贈り物として世界各地へ届けられたそうです。
小坂さんは展示の中に以前手にしたボタンとそっくりな星のモチーフを発見。キリストの誕生を知らせるベツレヘムの星です。

修道会の展示室にボタンのコレクションはありませんでしたが、祈りの道具をつくった職人たちは宗教的なものだけでなく伝統工芸品もつくっていたはずだとエウジャーノさんが教えてくれました。
ベツレヘムへやってくる巡礼者に聖地の記憶をとどめてもらう記念品としてボタンをつくっていたようです。長い道のりを歩いてく巡礼者たちにとって帰り道も楽ではないはず。小坂さんが言っていたように「お守り」のようなものだったのでしょう。

St. John Souvenir(セントジョン・スーベニア)/ ベツレヘムパールボタン【ベツレヘム】


かつてボタンを作っていた職人の末裔 Yusuf Elias Giacaman(ユースフ・エリアス・ジアカマン)さんが営む店 St. John Souvenir(セントジョン・スーベニア)へ。途絶えてしまったと思われた透かし彫りのベツレヘムパールボタンが揃っています。

実は店の商品の多くは職人だった父 Elias Ibrahim Giacaman(エリアス・イブラヒーム・ジアカマン)さんが生前に残したもの。エリアスさんはベツレヘムパールの世界で名を馳せた伝説の職人で、これほど細かい細工はもう誰もつくることはできないと言います。職人の数は年々減っていて現在は細かい細工ができる人がほとんどいなくなってしまいました。

ユースフさんは飾らずに隠しているエリアスさんの最高傑作を見せてくれました。息をのむほど細やかな透かし彫りはエリアスさんがおよそ1年かけてつくりあげたもの。この見事な出来栄えのベツレヘムパールは誰にも売らない宝物。
小坂さんは残りわずかしかない伝説の職人のボタンを自分のために手に入れました。超高級品なため一般の人に売るには高すぎるとここでの商品買い付けは断念。
もう出会えないかと思っていたベツレヘムパールボタンを手に入れることができるなんて、わざわざベツレヘムまで行った甲斐がありました。

名前St. John Souvenir(セントジョン・スーベニア)
住所Manger Square, Bethlehem
WEBhttps://www.facebook.com/stjohnsouvenir(Facebookページ)
営業時間10:00〜22:00
定休日不明

こちらは日本の職人手彫りの「ベツレヘムパール風」白蝶貝ピアス。

番組でアレンジしていたように気軽に使える淡水パールのロングネックレスがあるとボタンをペンダントヘッドにできていいですね。

ブロス・コムシィーエさん / ベツレヘムパールボタン職人【ベツレヘム】

なんとかしてベツレヘムパールボタンを買い付けたいと考えていた小坂さん。町外れの Beit Sahour(ベイトサフール)村にいまも細々と土産品をつくっている職人がいると聞きつけ訪ねることに。
透かし彫りが得意だという職人歴50年の Bolus Qumsieh(ブロス・コムシィーエ)さん。繊細なつくりの作品はとても綺麗です。「ここまでの品を作れるのは世界でもう私だけ」という最後の腕利き職人。2人の従兄弟と共に工房を営んでいます。
材料は白蝶貝の貝殻。こちらの工房ではオーストラリアから貝殻を買っています。まずはボタンの形に切り出して下絵を描き、直径1mmほどの穴を入れ極細の糸鋸を通し慎重に削り出していきます。すべて手作業。ひとつひとつフリーハンドでつくります。

ベツレヘムのあるパレスチナでは隣国イスラエルとの間で土地をめぐる争いが繰り返されてきました。争いのたびに観光客が途絶え多くの職人が仕事を失ったといいます。
さらにいまイスラエルはテロを防ぐとして2つの地域を隔てる壁を建設していて材料となる貝殻の値段も高騰。仕事は厳しさを増し利益が出せません。

「あと10年か15年したらこの技術は途絶えてしまう。いつも祈りを捧げながら仕事をしている。このボタンは聖地でつくられたものだと伝わるように」というブロスさんに小坂さんはオリジナルボタンの製作を依頼。
「これがベツレヘムパールだよっていうスペシャルなものをつくっていただきたい」とお願いして完成したようです。

スタジオでJUJUさんが完成品を試着。淡水パールのネックレスのペンダントヘッドにするアレンジで一層上品に。
JUJUさんも「ボタンひとつで世界が変わる。私ボタンにはまりそうです」とうっとり。

名前Qumsieh (コムシィーエ工房)
住所Beit Sahour, Bethlehem

U-NEXT(ユーネクスト) でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。世界はほしいモノにあふれてる は放送の翌日から見逃し配信中。三浦春馬さん出演の大河ドラマ おんな城主 直虎 などドラマも一気見できます。初回31日間無料トライアル。NHKオンデマンド は別料金ですが、もらえる600ポイントで購入できます。PR

南仏&モロッコ テーブルウエア のまとめはこちらへ!

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