世界はほしいモノにあふれてる 三浦春馬&JUJU「JAPAN! 究極の“台所道具”」紹介リスト

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NHK Gで放送している「世界はほしいモノにあふれてる(略称:せかほし)」シリーズ。
世界を旅するトップバイヤーと素敵なモノ探し。目利きバイヤーに密着したドキュメンタリーには欲しいものや行きたいお店が続々登場。バイヤーさんは誰?場所はどこ?物はどこで買える?と気になります。

番組は3年目。新型コロナウイルスの影響でスタジオ収録が中止されていた間もリモート出演や過去回の再編集で放送が続いていましたが、2020年7月18日に三浦春馬さんが亡くなられました。心よりご冥福をお祈りいたします。
三浦春馬さんが7月16日に収録した映像は3回分あり、7月30日、8月20日、8月27日に放送。今回が三浦春馬さんが出演される最後の新作です。
世界はほしいモノにあふれてる JAPAN! 究極の“台所道具”(初回放送:2020年8月27日22:30〜 再放送:8月31日深夜の再放送は台風関連のニュースのため延期になりました。2020年9月7日24:30〜放送予定)のMCは俳優の 三浦春馬(みうら はるま)さん、歌手の JUJU(ジュジュ)さん。ナレーション(天の声)は声優の 神尾晋一郎(かみお しんいちろう)さん、ゲストは料理研究家・作家の ナンシー・シングルトン・八須(なんしー しんぐるとん はちす)さんです。
番組を参考に、自分で行くときのために気になるお店やスポットをまとめてリストにしてみました。
せかほし最新の放送は 2023年11月4日(土)15:55〜16:20祝5周年!とっておきの旅SP」です。

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2021年8月27日に三浦春馬さんMC回を含むセレクション DVD & ブルーレイが発売されました。収録内容は こちらの記事 に詳細をまとめています。

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世界はほしいモノにあふれてる セレクション DVD&ブルーレイ の内容まとめはこちらをどうぞ!

世界一受けたい授業 三浦春馬先生が教えるメイドインジャパン のまとめはこちらをどうぞ!

せかほし | バイヤーさんは誰?場所はどこ?物はどこで買える?

日本の食文化を世界に伝える作家、アメリカ出身の ナンシー・シングルトン・八須(なんしー しんぐるとん はちす)さんの取材に同行し “おうちごはん”の心強いパートナー「和の台所道具」を紹介。

ナンシー・シングルトン・八須さん / 料理研究家・作家

アメリカ・カリフォルニア州出身の ナンシー・シングルトン・八須(なんしー しんぐるとん はちす Nancy Singleton Hachisu)さん。名門スタンフォード大学を卒業し1988年 32歳のときに来日。英語教師をしているときに知り合った埼玉県神川町で有機農業を営む 八須理明(はちすただあき)さんと結婚し、のどかな田園に囲まれた日本家屋で生活を始めます。

農家の妻をしながら3人の子供を育てていたナンシーさんは毎日地元埼玉の食材を使った料理をつくるうちに料理研究家・作家としても活躍するようになりました。
築90年近い民家のナンシーさんの素敵なキッチンで料理をし、日本各地を旅して学んだ料理の知恵を本につめて出版。食の大切さと楽しさを日本、そして世界へと伝えるナンシーさん。この8年で4冊の英語の専門書を出版。
著書はフランス料理の巨匠 Joël Robuchon(ジョエル・ロブション)さんやオーガニック料理の先駆者 Alice Louise Waters(アリス・ウォータース)さんらも愛読。講演にもひっぱりだこ。

2001年からは自然の環境の中で英語を使って子どもたちを育てる幼稚園 サニーサイド・アップ!(Sunny-Side Up!)を主宰、と活動は多岐にわたります。
長男の 八須クリストファー(はちすくりすとふぁー)さんと。次男の 八須アンドリュー(はちすあんどりゅー 八須安龍)さんがナンシーさんの取材や幼稚園運営のアシスタントをされているようです。
料理研究家・作家としけ活躍する一方で幼稚園 サニーサイド・アップ!(Sunny-Side Up!)を主宰しています。
キッチンでも子供たちに英語で学びの場を提供しています。

今回は食文化を支える台所道具にもこだわりと愛着を持つナンシーさんが日本の台所道具の職人を訪ねる旅に密着します。取材アシスタントは次男の八須アンドリューさん。

名前ナンシー・シングルトン・八須(なんしー しんぐるとん はちす)
WEBhttps://www.nancysingletonhachisu.com/
名前サニーサイド・アップ!(Sunny-Side Up!)
住所埼玉県児玉郡神川町原新田1−28
WEBhttps://www.sunny-sideup.net

ナンシー八須さんの著書。日本語のレシピ本も英語のレシピ本もあります。日本の食文化をワールドワイドに伝えています。

ナンシーさんのキッチンと台所道具

蓄90年近い古民家に住むナンシーさん。キッチン は自ら設計したこだわりの空間です。
天板はアメリカで採れたマラカイトという石。麺を打つのにもってこい。天板の下の収納はアンティークの和だんす。
業務用のガスコンロとオーブン。和洋折衷、ナンシーさんのセンスが随所に光ります。

日本の料理道具に興味を持ったきっかけが すり鉢。すり鉢とすりこぎを初めて見たとき「なんてすごい道具なんだろう」と思ったそうです。
すり鉢の溝がひとつひとつ違うことに惹かれていて、見つけたらすぐに買ってコレクション。10個以上持っています。
スタジオにも愛用のすり鉢とすりこぎを持ってきてくれました。大きな すりこぎ は山椒の木でつくられていて、夫の理明さんが大学を卒業する前に買ってくれた大切なもの。
手に当たる感じもすごくなめらかで持ちやすくナンシーさんの手にフィットする完璧なすりこぎです。

そして おろし金。アメリカにはおろし金を使う習慣がありません。アメリカに行くときには必ず持って行っています。
最近日本の家庭の台所から昔ながらの道具が消えつつあると危惧しているナンシーさん。
「日本ではだんだん職人さんが減っているからいいものはお金持ちの人しか買えなくなってしまう。
アメリカではそんな感じになってしまったけど、それは良くない。
私の責任は本を書いたり日本のメディアと話したり。うるさいことはちょっと言える」
外国人の目を通して日本の職人技を見つめ、それを世界に伝えようと執筆を進めています。

サラダボウルとしてそのままテーブルに出しても素敵な大きめの陶器のすり鉢、5色あり。小さいサイズもあります。

固すぎず柔らかすぎず、すりこぎに最適な山椒の木。

海外で人気の日本の台所道具 / 七輪 土鍋

海外の有名シェフや料理研究家とも親交が深いナンシーさん。
JUJUさんから「海外で人気の日本の台所道具は?」と訊かれると、七厘(七輪 しちりん)という答え。
七厘は本当にみんな欲しがっていて、多くのレストランのキッチンに置いてあるそうです。

そして 土鍋。土鍋も大人気。土鍋についての本を書いたシェフもいるほど。
日本の も人気。七厘でつくる焼き鳥が流行っているそうです。
世界が欲しいモノは日本にあふれてる。

国産珪藻土で愛知の職人が手作りした七輪。

ガス・電子レンジ・オーブンOKの日本製土鍋。ほんのり桜色。

神川町骨董市

日曜日の朝、ナンシーさんは 神川町骨董市 へ。大好きな古い台所道具に出会える場所。
この日のお目当はお皿。来年出版する新刊の写真に使うお皿を探しているのに、すり鉢に目移り。周りの色を見るとすり鉢が作られた時代がわかるそうです。
機械で作られていない人の手で作った道具を見ると嬉しくなって、いろいろ欲しくなってしまうナンシーさん。
アメリカは歴史が浅く、日本のように職人が多くいるわけではないと言います。

馴染みの刃物の店もチェック。海外のシェフに日本の包丁をプレゼントすると喜ばれるのだとか。

名前神川町骨董市
住所埼玉県児玉郡神川町大字八日市 神川町コミュニティー運動広場
WEBhttp://www.kottouichi.jp/kamikawacho.htm
営業時間日:6:00〜14:00

洋食器とも合わせやすい温かい色合いの陶器のすり鉢。すりこぎもセットで付いています。

せかほし | 三浦さんとJUJUさんのとっておきの台所道具

日本のモノを取材してきた三浦春馬さんと料理にこだわりのあるJUJUさんは 愛用の私物 を披露。
三浦さんは4年に渡る伝統工芸品の取材、そして取材したモノを購入し実際に使い続けてきた経験から「職人の技が光ってこそ道具を長く使うことができる、道具を大切に長く使い続けていくことが職人の仕事をたたえること」だと語っていました。
モノをつくる現場に足を運んで自分の目で見て、体験してみて、そしてそのモノを使い続けてきた三浦さんの言葉はすごく説得力があります。
日本もほしいモノにあふれてます。三浦春馬さん本当にありがとうございました。

三浦春馬さんが47都道府県47のメイド・イン・ジャパンを巡った連載の書籍化。真摯に日本の伝統工芸や手仕事に向き合った三浦さんの素直で温かい人柄が感じられる本です。

JUJUさん愛用の銅の茶筒 / 三浦春馬さんの誕生日プレゼント

三浦春馬さんがJUJUさんの誕生日にプレゼントしたという京都の 銅の茶筒。「日本製」の取材で訪れた 開化堂(かいかどう)さんのものです。
「世界一受けたい授業」の 三浦春馬先生の講義 でも紹介されていました。定番はシンプルな茶筒ですがJUJUさんの茶筒は特別な装飾つき。「宝づくし」という福を呼ぶとされる吉祥文様が散りばめられています。
蓋がすーっと入っていくのが職人技の証。
内蓋の持ち手は打ち出の小槌の形になっていて細かいところまで職人技が効いています。

経年変化も楽しめ長く使える開化堂の真鍮茶筒。

三浦春馬さん愛用の漆器 / 浄法寺漆器

三浦春馬さんは2018年に岩手に取材に訪れた際に購入した 漆のお椀とお箸とスプーン。浄法寺の 滴生舎(てきせいしゃ)のもの。自粛中は毎日食事を作って使っていたそうです。
こちらも「世界一受けたい授業」の 三浦春馬先生の講義 でも紹介されていました。

2年くらい使っていて経年美化が楽しめているそうです。浄法寺漆器は使えば使うほどツヤが出るのが特徴。使っていると愛着が湧いてきたようです。普段から使うことで日々の暮らしが豊かになりますね。
「漆のいのちを頂いて、器に施す。そのいのちは、器の中で生き続ける…と職人さんから聞き、すばらしいストーリーだと思いました」と三浦さん。
JUJUさんも漆器の重箱を大切にしまっていたけれど、もっと普段使いをしたいとおっしゃっていました。

浄法寺漆器のお椀。使えば使うほどツヤが出る逸品。

せかほし | 日本の台所道具

“おうちごはん”の心強いパートナー 和の台所道具
日本の料理文化をテーマに執筆する作家 ナンシー・シングルトン・八須さんが新潟・富山・岩手で台所道具の職人を訪ねます。

玉川堂 / 銅器【新潟】

日本各地の伝統工芸を調べる中でナンシーさんが気になるのが 新潟県の 銅のテーブルウェア。表面を覆う不規則な凹凸、光の具合で様々な表情を見せます。
内側にも凹凸があり、ビールを注ぐと空気が入りやすくクリーミーな泡が生まれる効果が。
驚いたはナンシーさん「これは絶対に機械からプチュンプチュンと出ない」とこの不思議な模様の秘密を取材することにしました。

新潟県燕市(にいがたけんつばめし)はおよそ300年前に近くに銅山が開かれたことをきっかけに銅器の名産地として歴史を刻んできました。
取材アシスタントを務める次男のアンドリューさんと訪ねたのは1816年創業の 玉川堂(ぎょくせんどう)。金属加工業が有名な新潟県燕市の中でも玉川堂は1枚の銅板を鎚で叩き起こして銅器を製作する 鎚起銅器(ついきどうき)の伝統技術を200年に渡り継承している老舗。銅に多彩な着色を施す技術を持っています。

案内してくれたのは番頭の 山田立(やまだりつ)さん。2つ並べられたやかん、1つは最近つくられたもの、もう1つは40年前につくられたもの。色が変わってしまって全く違います。
200年変わらぬ技術でつくられたやかんは口の部分も継ぎ目無しの一体成型。なんと一枚の銅板を伸ばしてできています。

クイズ

この形はどのように作っている?

正解 金づちで叩く

不思議な表面の模様は職人がひたすら叩くことによって生まれたもの。設計図は無く寸法は全て職人の頭の中。大小200もの金づちや木槌を使い分け銅板を自在に変形させる。

「失敗するときもある?」と尋ねるナンシーさん。
職人歴17年の蓑輪朋和さんは「あります」との答え。
「技術も難しいですけれど集中力を維持するというのが一番難しいくて鎚目などに表れている気がします」と職人仕事の難しさを教えてくれました。気持ち良く仕事ができたときは鎚目の並びも綺麗になっているそうです。

金属加工の技は新潟の風土と深く結びついています。この地を流れる信濃川は数年ごとに氾濫し、農作物に大きな被害をもたらしていました。そこで江戸初期に農民たちは副業として金属加工の製品をつくるようになります。暮らしを少しでも楽にしようとそれぞれの技を磨いていきました。

ナンシーさんが知りたかった秘密はもう1つ。銅器の色の出し方。塗料は一切使っていないのに、金・黒・シルバーなど様々。
中でもナンシーさんの興味を引いた色が 紫金色(しきんしょく)。深い紫の奥ゆかしい輝き。ナンシーさんも「美術館に置いたほうがいいんじゃない?」というほどの高貴な美しさ。

この秘伝の色は百数十年前に偶然できた色。表面を化学変化させて着色しています。
銅を硫化カリウムというアルカリ性の薬品に浸すとたちまちグレーに変化。ここまでは色ムラをなくすために明治から行われてきた手順。
しかし大正時代にある職人が半田付けの錫(すず)を銅器に付着させてしまったのを気付かずに薬品へ浸してしまいます。すると..赤い銅が見たこともないような青紫に変化。100年前にできた奇跡、それが紫金色。

若い職人さんも頑張ってらっしゃいます。
職人歴5年の 矢竹純さんは「みんな機械で作っちゃう時代ですけれども手だけで作るオリジナリティーとか誇りをもっています」と頼もしいお言葉。

名前玉川堂(ぎょくせんどう)
住所新潟県燕市中央通2-2-21
WEBhttps://www.gyokusendo.com
営業時間8:30〜17:30
定休日日曜

玉川堂出身の職人が開業した新潟県燕市の島倉堂の紫金色の手打燗瓶。

新潟県燕市の新光堂のタンブラー。

茶寮カネエイ / 日本茶専門カフェ【新潟】

銅器は時間が経てば経つほど価値が増すと言います。向かったのは日本の茶所の北限として知られる 新潟県村上市。雪に覆われた厳しい冬を越した茶樹からは春になるとほんのり甘く香る茶葉が芽吹きます。
紹介されていたのは創業明治元年(1868年)の老舗茶園 冨士美園(ふじみえん)が運営する日本茶専門カフェ 茶寮カネエイ(さりょうかねえい)。2019年に工場の一部を改装して村上茶が味わえる隠れ家的なカフェスペースをつくりました。長年愛用してきた玉川堂の鎚起銅器をカフェでも使用しています。

見せてくれた80年以上使ってきたというやかん。冨士美園代表の 飯島剛志(いいじまつよし)さんは「新しいおろしたての色もいいのですが、だんだん使っていくにつれて深みが増していって使っている人の色に変わっていくのが自分の宝物という感じ」と深い愛着を持っている様子。

テーブルに提供される急須も鎚起銅器。基本メニューは 選べるお茶+お茶菓子のセット。お茶の飲み方を「体験」または「提供」から選ぶことができ、「体験」はお茶の淹れ方を教えてもらい自分でお茶を淹れます。
お茶は、村上茶の煎茶、村上抹茶、ほうじ茶、雪国紅茶、雪国烏龍茶など。
お茶+お茶菓子のセット 860円+税〜。

名前茶寮カネエイ
住所新潟県村上市長井町4-19
WEBhttp://www.fujimien.jp/
営業時間11:00~17:00
定休日不定休

こちらも新潟県燕市の老舗 一守堂の手打燗瓶。

ふくべ鍛冶 / イカサキ包丁【石川】

骨董市では必ず刃物の店をチェックするというナンシーさん。海外のシェフに包丁をプレゼントすると喜ばれるそうです。
石川県の イカサキ包丁(いかさきぼうちょう)は海外のシェフを感動させた逸品。ナイフのように小さくて軽いのに切れ味は鋭く、両刃のため真っすぐ刃が通ります。ぬめりがあって切りにくいイカや小魚を割くために作られました。
イカや魚だけでなく野菜も切りやすいんだとか。包丁1本持つならこれがおすすめとナンシーさん。

向かったのは北陸、石川県能登半島。能登町 にある ふくべ鍛冶(ふくべかじ)。地域に1軒しか残っていない鍛冶屋さんです。
創業100年、4代続く老舗。4代目 干場健太郎(ほしばけんたろう)さん(40歳)はナンシーさんともお馴染み。干場さんは代々「野鍛冶」と呼ばれる職人。刀鍛冶と違い農家や漁師が使う日用品を手がける鍛冶屋。
海女さんの要望で生まれたサザエを開けるための道具や牡蠣を開けるための道具など、地域の人のニーズによって刃物を作り出してきました。

1度研げば長い間切れる「長切れ」が日本の刃物の優秀なところ。
その技を守るのが3代目 干場勝治(ほしばかつじ)さん(74歳)。60年間毎日刃物を鍛え続けてきました。
800度に熱した鉄や鋼を何度も打つ 鍛造(たんぞう)。この鍛造に長切れの秘密があるといいます。
叩きながら鉄の中の錆びる原因となる不純物を追い出している技術。不純物を飛び散らせ炭素の純度を高くすると硬く締まった刃になり、手入れをすれば何十年も使い続けることができます。

しかし鍛造の技術を持つ職人はこの町では干場さんだけになってしまいました。最近の包丁はプレス加工でつくられることがほとんど。戦後大量の刃物が必要となり、刃物の産地では大量生産できるプレス加工に移ってしまいました。

干場さんは鍛冶屋がいなくなった地域を回り修理を受け付ける「刃物の往診」も行います。使い捨ての文化ではなく、長く使っていこうとするお客さんも多いそうです。
「お客さんに使いやすいとか長く使えたなどと思われることは職人冥利に尽きる」と勝治さん。
ナンシーさんにとっても職人さんの手作りの道具の良さは「長く使い続けられること」。長持ちというのは日本の考え方として重要だとおっしゃっていました。

名前ふくべ鍛冶(ふくべかじ)
住所〒927-0432 石川県鳳珠郡能登町字宇出津新23
WEBhttps://fukubekaji.jp/
営業時間9:00〜17:00
定休日日曜

イカサキ包丁といっても90mm〜180mmくらいまであり。

湯宿さか本 / 癒しの宿【石川】

ナンシーさんは石川県珠洲市へ。金沢から車で2時間、能登半島の先端のまち。ナンシーさんが作家として歩み始める原点となった宿 湯宿さか本(ゆやどさかもと)を訪ねました。
かしこまったお迎えがないのがこの宿の流儀。湯宿さか本の主人は 坂本新一郎(さかもとしんいちろう)さん。10年前に初めて訪れたナンシーさんは徹底したシンプルさに究極の美を見つけ出したといいます。

「私たちの生活はごちゃごちゃしているばかり。でもここにはつつましい美しさがありました。
この宿のおかげで日本の見方が変わりました。日本の素敵な場所を見つけ出して回って、それを本にしていこうと思いました」とナンシーさん。

「日本のつつましさ」を生み出す特別な素材、(うるし)。床や柱も漆、浴室にまで漆が使われています。
建築の内装に漆を拭くのはこの地方の伝統的なやり方だと坂本さん。特別なことやこだわりということではなく、内装を長く持たせるためにやった理にかなったこと。当たり前のことだといいます。

ナンシーさんが心を打たれたのは坂本さんがつくるお膳。そこには日本のつつましさが凝縮されています。
あいなめの椀物、高野豆腐の煮しめ。盛られているのも漆器です。初めて口にした時に心がすっと落ち着くような経験したことのない感覚を味わったそうです。

父が始めた宿「坂本旅館」を1974年に受け継いだ坂本さんは「湯宿 さか本」を開業。一見築100年は超していそうな建物ですが、実は30年前に新築で建て直したとのこと。そのときに思い切って客室が3室しかない「日本一小さい宿」にすることを決めました。
エアコンもテレビも無く、洗面所とトイレは共用。あるのは隅々まで清潔で簡素な空間と丹精を込めてこしらえた夕食と朝食。
快適性や効率性を追求する宿ではなくお客さんの「別宅」のような場所を営んでいます。
宿泊料金は 1人1泊2食付き(2名様1室の場合で)18,000円(税込)。予約受付は電話のみ。

名前湯宿さか本
住所石川県珠洲市上戸町15-47
電話0768-82-0584
WEBhttps://www.yuyado-sakamoto.com
定休日1月・2月

お味噌汁・お吸い物にちょうどよいサイズの輪島塗の汁椀。

瀬戸國勝さん / QUAI(クヮイ)/ 漆【石川】

ナンシーさんは素晴らしい料理は素晴らしい漆のお椀に入っているから、味は変わらないけれど気分が変わる。漆がどう特別なのかいつもそれを知りたい、と漆器の秘密を探りに漆の本場 石川県輪島市へ。
宿の漆器を手がけた漆職人の 瀬戸國勝(せとくにかつ)さんを取材。QUAI(クヮイ)というショップも営んでいます。ナンシーさんが訪れるのは3年ぶり。

瀬戸さんは輪島塗りにとどまらず日本古来の技法を研究。独自のスタイルで漆器を作っています。
瀬戸さんの信条は「毎日使える漆器」。特別な日の飾りではなく日常の中で漆器に触れて欲しいという。

ナンシーさんはサラダなど油を使う料理は漆器には良くないと思って使ってなかったのですが、「全然問題ない」と瀬戸さん。
漆器は傷みにくい丈夫な器。作り方を見ればそれがわかる、ということで工房にお邪魔。

天日に干したけやきの器は木地(きじ)と呼ばれる。これに漆を塗り重ねる。
瀬戸さんが一番大事だという最初の仕事が木地固め、漆を木地に塗りこみ繊維の奥まで染み込ませて丈夫にする作業。
漆をたっぷり染み込ませたら数日間乾燥。これを繰り返すこと7〜8回。繊維の隅々まで漆が染み渡り、飽和状態になる。数ヶ月かけて木地固めをすると、手間はかかるが毎日使っても痛まない丈夫な漆器になります。

瀬戸さんが漆の世界に飛び込んだのは40歳になってから。世界的な芸術家との出会いがきっかけ。
巨匠 バーナード・リーチ。東洋と西洋を結んだ陶芸家。明治時代にイギリスから来日。日本各地を巡り日用品の美を発掘しました。
1973年に能登を訪問。民芸店で働く瀬戸さんが運転手を務めました。ある村で素朴な漆器を見たときのこと。リーチの思わぬ姿を目の当たりにします。
そのお椀を引き寄せて見つめバラバラと大粒の涙を流すリーチ。誰が作ったかもわからないお椀が人を感動させることがある。こんなすごい世界があるのだと飛び込んでみたくなってしまったそうです。
瀬戸さんが心にとどめてきたリーチの言葉は「毎日人と物が会話できる」。日常使いの道具の美しさを知っているからこその深い言葉ですね。

独学で漆器作りを学んだ瀬戸さん。初めての作品のお椀は30年以上使っています。
30年間食卓を共にする人生の相棒。使う人と会話できるものを作れ、リーチの言葉を日々かみしめています。
このまろやかな漆の温かさっていうのは他の素材にはない、と自身の漆器で食事をしながらしみじみ語る瀬戸さんでした。

名前QUAI(クヮイ)
住所石川県輪島市河井町1-7-13
WEBhttp://www.seto-kunikatsu.com/

ご飯にちょうどよいサイズの輪島塗のまり椀。汁椀よりもちょっと深めです。

伊藤勝康シェフ / L’aureole(ロレオール)/ フレンチレストラン【岩手】

岩手県北部三陸海岸に面した 田野畑村(たのはたむら)へ。訪ねたのはフレンチレストラン L’aureole(ロレオール田野畑)伊藤勝康(いとうかつやす)シェフ。岩手の食材にこだわった素材を生かしたフレンチで知られる伊藤シェフは 南部鉄器(なんぶてっき)使いの達人。
南部鉄器は鉄瓶で有名な岩手の伝統工芸。最近は洋食用のアイテムが若い世代に大人気。特徴は鉄ならではの重さと丈夫さ。雪国生まれの鉄器は熱を逃さない知恵が詰まっています。

鉄は熱伝導率が高い。分厚い鉄器は蓄熱もでき、余熱調理にもってこい。
紹介されていたのは「短角牛の南部鉄器焼き」。美味しそうでした!
南部鉄器は平均して火が入るから普通の調理器具で得られない香が上乗せされるのだとか。

千葉県出身の伊藤シェフは東京エアポートレストランで修行後に妻の実家の岩手県へ。岩手県奥州市の牛の博物館の料理長を務めた後、出張調理「ロレオール丘」を開業。岩手中を飛び回り地元の食材と出会った経験から地産地消のガストロノミーの第一人者に。
2010年にフレンチレストラン「ロレオール」オープン。2012年にはテレビ番組『アイアンシェフ』に出演して勝利したことから日本中に名が知られるシェフとなりました。
出張調理をしていたときに出会った南部鉄器の便利さに気づいたそうです。今では南部鉄器づかいの達人としても知られています。
ロレオール田野畑のランチは 3,000円+税〜、ディナーは 4,500円+税〜。

名前L’aureole(ロレオール田野畑)
住所岩手県下閉伊郡田野畑村明戸209-5
WEBhttp://laureole7.com/
営業時間12:00〜14:00, 18:00〜20:00
定休日不定休

伊藤勝康シェフ愛用の及源鋳造(OIGEN)NakedPan シリーズ。プロ仕様の厚手の南部鉄器フライパン。IH対応です。

ご家庭でも使いよいサイズの及源鋳造(OIGEN)南部鉄器フライパン。IH対応です。

及源鋳造 / 南部鉄器【岩手】

平安時代から900年にわたり続く 南部鉄器 作りにはいまも匠の技が息づいています。
ナンシーさんは南部鉄器窯元 及源鋳造(おいげんちゅうぞう OIGEN)の工場を見学。
1852年創業の長い歴史を持つの鍋は、ニューヨーク近代美術館 MoMAでも紹介されるほど評価の高く、品質の良さは折り紙つき。ロレオール田野畑の伊藤勝康シェフも愛用しています。

最近は海外での南部鉄器の人気も高まっています。数年前からヨーロッパのおしゃれ雑貨セレクトショップで南部鉄器の急須をよく見かけます。お値段は日本の2倍くらいになってます。

鋳造には砂型を使い、1500度に熱した鉄を人間の手で鋳型へ。絶妙な速さで注ぎ均一な厚さを生む。手で注いでいるところを見たナンシーさんもWOW!と驚いていました。
工場には併設のファクトリーショップがあります。ナンシーさんも南部鉄器をお買い上げして帰ったようです。

名前及源鋳造(おいげんちゅうぞう)ファクトリーショップ
住所岩手県奥州市水沢羽田町字堀ノ内 45
WEBhttps://oigen.jp/
営業時間9:00-17:00
定休日水曜

シチューも煮物も、ナンシーさんみたいなラタトゥイユもつくりやすい 及源鋳造(OIGEN)の南部鉄器 深型鍋。

U-NEXT(ユーネクスト) でNHKの動画配信サービス NHKオンデマンド を視聴可能。世界はほしいモノにあふれてる は放送の翌日から見逃し配信中。三浦春馬さん出演の大河ドラマ おんな城主 直虎 などドラマも一気見できます。初回31日間無料トライアル。NHKオンデマンド は別料金ですが、もらえる600ポイントで購入できます。PR

2020年4月1日に番組のオフィシャルブックが発売されました。

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